林先生の初耳学(TBSテレビ)より
解説
お酒は適量なら問題ないという通説について取り上げた話題です。
番組では全く飲まない人は病気でお酒が飲めない人が含まれるためそういった人を除くとアルコール消費量と死亡リスクは正比例の関係になるとしています。
地上波の番組という事もあり、根拠となる資料が小さく記載されています。
一つ目の俗に言う「Jカーブ」の方は
・「1974年発表飲酒量と病気リスクを表す論文」より心筋梗塞と脳梗塞に関するグラフ
2つ目の直線の方は
・心筋梗塞と脳梗塞に関するグラフ 監修:徳田安春
となっています。
徳田安春氏については「筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター JA茨城厚生連総合病院 水戸協同病院」というところの回診ページがヒットしました。
飲酒と健康の関係については多く研究がされており、調べたところ、この初耳学での説明についてもやや語弊があるようでした。
厚生労働省のホームページに番組で紹介されていたものとかなり似たグラフがありましたので紹介します。
上のグラフは生活習慣病等に関する健康リスクについてです。
虚血性心疾患(心筋梗塞と狭心症)、脳梗塞、2型糖尿病についてはJカーブを描いています。しかし高血圧、脳出血、乳がんなどについては正比例、肝硬変については飲酒量による指数関数的な曲線を描いています。
また飲酒と死亡率についてもグラフがありましたので紹介します。
グラフの「図1a男性」と「図1b女性」で禁酒者と非飲酒者で分かれていますが禁酒者というのは健康問題などでお酒を飲めない人、非飲酒者は単に飲まない人です。
アルコール消費量と死亡率のグラフを見ると男女ともJカーブを描いており、全く飲まない人より少しだけ飲む人の方が死亡リスクは低くなっています。
こういった結果をどのように捉えるかというのは悩ましい話ですが毎日350mlのビール缶(度数5%の場合でアルコール量17.5g)飲むのは死亡リスクの観点からは良い事となります。
また同時にこれが喫煙と違い飲酒が市民権を持つ理由という事になります。
参考リンク
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-03-001.html
https://zatsuneta.com/archives/004234.html
https://publichealth.med.hokudai.ac.jp/jacc/reports/lin3/index.html